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2024年8月発行

子の監護・引渡しをめぐる紛争の審理及び判断に関する研究
司法研修所編(司法研究報告書第72輯第1号) ISBN 978-4-86684-117-5
書籍コード 500605 A4判 204頁 定価 3,600円(本体 3,273)
 本司法研究は、父母による子の監護をめぐる近年の変化を契機に、子の監護者指定等について新たな判断枠組みを提唱するとともに、手続運営の実践面を整理し、提案するものである。
 検討すべき課題の多い紛争類型であるが、研究員及び協力研究員は、子が安定した生活の中で幸せに成長できることを切に願いながら検討を進め、そのために当事者や手続代理人弁護士に期待する役割や裁判所(裁判官、家事調停委員、関係職種)が果たすべき役割について整理を試みた。併せて、経験の浅い実務家にとっても理解しやすい判断枠組みや手続運営の在り方を示し、子の利益を実現するための活動につなげていただくことを意識した。
 研究員は、研究期間中に実際の事件処理において、子の利益の観点から四つのポイント(着眼点:@従前の監護状況、A監護態勢、B子との関係性、C他方の親と子の関係に対する姿勢)を意識して父母による監護の評価を試みたところ、手続運営においても、家庭裁判所調査官とのカンファレンス等においても、多角的な検討がしやすいとの感想を持つことができた。
 本司法研究は、子の監護者指定等についての判断や手続運営についての一つの提唱・提案であり、今後の実務において検証されるべきものではあるが、子の利益にかなうより良い紛争解決に向けた一助になれば幸いである。
 なお、令和6年5月17日に民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号。以下「改正法」という。)が成立し、親権者の定めや子の監護に関わる法制度が改正された。本司法研究は、改正法施行前の現行法下における子の監護をめぐる紛争について、判断枠組みや着眼点の整理を図るものである。現行法下のこのような紛争は、改正法施行後には実体法上の根拠や手続の位置付けが変わり得るところであり、これから議論を深めることが求められているが、父母の別居や離婚に伴い、子が父母のいずれと生活するかをめぐる紛争がなくなるとは考えられず、これに対して裁判所が一定の判断をする場面があることには変わりがないといえる。本司法研究による現行法下の判断枠組みや着眼点の整理は、改正法の下でこのような紛争に係る事案の審理の在り方を検討するに当たっても役立つものと考えている。
(はしがきより)

目 次 抜 粋

第1章 子の監護者指定の判断枠組み
第1 本章の構成
第2 子の監護者指定等事件の特質
第3 子の監護者指定の判断枠組みをめぐる従前の議論の状況
1 本項の目的
2 先行文献における議論の状況
3 小括
第4 指定研究の概要
1 本項の目的
2 子のニーズの概念
3 子のニーズの分析・整理
4 小括
第5 諸外国の制度とその運用の状況
1 本項の目的
2 米国の状況
3 イギリスの状況
4 ドイツの状況
5 フランスの状況
6 小括
第6 子の利益の観点からの判断枠組みの提唱−四つのポイント(着眼点)による父母の監護の評価−
1 はじめに
2 子の監護者指定の判断枠組み
3 事案の特性に応じた判断の在り方
4 新たな判断枠組みにおける従前の考慮要素の位置付け
5 まとめ
第2章 審判前の保全処分
第1 本章の構成
第2 審判前の保全処分の概要
1 審判前の保全処分
2 審判前の保全処分の要件
3 審判前の保全処分の性質・効力等
第3 審判前の保全処分の判断枠組み
1 はじめに
2 本案認容の蓋然性の判断枠組み
3 保全の必要性の判断枠組み
4 子の監護者の仮の指定のみの申立てがされた場合における保全の必要性の判断枠組み
第4 保全事件の審理の在り方
1 本案認容の蓋然性と保全の必要性の審理の重なり合い
2 保全事件の審理の在り方
3 当事者として留意すべきこと
4 裁判例の状況
第3章 子の監護者指定等事件(保全事件を含む。)の手続運営の在り方
第1 本章の構成
第2 子の監護者指定等事件の手続における当事者及び裁判所の活動の概要
1 当事者の活動
2 裁判所の活動
第3 段階に応じた具体的な手続運営
1 第1回期日まで(審判事件)
2 第1回期日(審判事件)
3 調査官調査(審判事件)
4 調査官調査後の手続運営(審判事件)
5 調停事件の手続運営
第4 保全事件が申し立てられた場合の手続運営
1 総論
2 当事者の活動
3 裁判所の活動
別紙
1 子のニーズの観点表(枠組み)
2−1〜6 子のニーズの観点表(年代別)
3 考慮要素表
4 対応目安表
5 子の監護者指定に関する裁判例(一覧表・【1】〜【30】)
6 審判前の保全処分に関する裁判例(一覧表・【a−1】〜【f−3】)


司法研修所論集 2023(第133号)
司法研修所編 ISBN 978-4-86684-115-1
書籍コード 500602 A5判 230頁 定価 3,200円(本体 2,909)
講 演
裁判迅速化検証の20年−その意義と課題・展望−
山本 和彦
論 説
デジタル化の憲法的課題
山本 龍彦
講 演
裁判員裁判と刑事実体法の解釈・適用
橋爪  隆
第三者異議の訴えに関する諸問題について
――担保権者による第三者異議の訴えの可否を中心に――
青木  哲
「証拠の関連性」と「証拠調べの必要性」
成瀬  剛
論 説
譲渡担保の実行――そのメカニズムとこれが拠って立つ考え方について
鶴ヶ野 翔麻


家裁調査官研究紀要 第33号
裁判所職員総合研修所監修 ISBN 978-4-86684-116-8
書籍コード 500603 B5判 62頁 定価 1,800円(本体 1,636)
論 説
子の発達及び夫婦間紛争の子への影響について
−発達心理学からみた子どもの“ニーズ”の観点から−
菅原 ますみ
研 究
試験観察における短期間の身柄付き補導委託活用の取組
武田 大助 ほか


2024年3月発行

最高裁判所判例解説 民事篇(上)(1月〜4月分)(令和3年度)
法曹会編 ISBN 978-4-86684-110-6
書籍コード 206203 A5判上製函入 約340頁 定価 5,500円(本体 5,000)
最高裁判所判例解説 民事篇(下)(5月〜12月分)(令和3年度)
法曹会編 ISBN 978-4-86684-111-3
書籍コード 208203 A5判上製函入 約428頁 定価 6,900円(本体 6,273)
最高裁判所判例解説 刑事篇(令和3年度)
法曹会編 ISBN 978-4-86684-112-0
書籍コード 210203 A5判上製函入 約340頁 定価 5,500円(本体 5,000)
 令和3年度の最高裁判所判例集に登載された民事判例23件、刑事判例12件のすべてについて、最高裁判所の調査官が判示事項、裁判の要旨等を摘示し、かつ、当該裁判について個人的意見に基づいて解説したもの(民事篇については、法曹時報第74巻第3号より第75巻第11号を、刑事篇については、法曹時報第74巻第4号より第76巻第1号までに掲載)を集録したものです。民事篇については、(上)(下)の2分冊となります。


ドイツ家庭事件及び非訟事件の手続に関する法律
法務省大臣官房司法法制部編(法務資料第469号) ISBN 978-4-86684-109-0
書籍コード 500601 A5判 198頁 定価 2,750円(本体 2,500)
 この資料は、ドイツ家庭事件及び非訟事件の手続に関する法律(Gesetzüber das Verfahren in Familiensachenund in den Angelegenheiten derfreiwilligen Gerichtsbarkeit(FamFG)の2023年1月1日現在の法文)を翻訳したものである。
 かつては、非訟事件については、主に、1898年にドイツ民法典(Bürgerliches Gesetzbuch(BGB))とともに制定されたドイツ非訟事件手続法(Gesetz über die Angelegenheiten der freiwilligen Gerichtsbarkeit(FGG))が規律していた。また、離婚訴訟等の人事訴訟事件については、1877年制定のドイツ民事訴訟法(Civilprozeßordnung(CPO))以来、その中に特則が置かれており(第6編)、1898年のBGB 制定とともにCPO が改正された(Zivillprozeßordnung(ZPO)となった)際に、親子関係事件に関する特則も第6編に設けられていた。
 家庭事件・非訟事件手続法は、これらをいわば統合して成立した法典であり、日本の現行法で言えば、家事事件手続法、非訟事件手続法、人事訴訟法を合わせたものにおおむね対応する幅広い適用範囲を有するものである。家庭事件・非訟事件を統合し、従来訴訟事件であった婚姻事件等も取り込んでいること、しかし、単に訴訟事件を非訟事件化したわけではなく、大幅に民事訴訟法の規定を準用していること、必要的な関係人の範囲がかなり広くとられているように見えること、厳格な証明によるべき場合を法定したこと等、日本法から見て興味深い点を多く含んでいる。
 日本の(旧)非訟事件手続法は、FGG の草案を参照して立案されたものであったが、現行非訟事件手続法・家事事件手続法の立案準備作業においても、現にドイツ家庭事件・非訟事件手続法が参照されている。
 もちろん、憲法・裁判制度・実体法等の違いがあるため、単純な比較や参照はできないものの、ドイツ法における立法・判例・学説の動向を引き続き検討する価値は十分にあると考えられる。本資料がその一助となれば、幸いである。
〇全体監修・概説・翻訳 東京大学大学院法学政治学研究科教授 畑 瑞穂
〇全体監修・翻訳    神戸大学大学院法学研究科教授    八田卓也
〇翻訳         神戸大学大学院法学研究科教授    青木 哲
〇翻訳         神戸大学大学院法学研究科教授    浦野由紀子
〇翻訳         東京大学大学院法学政治学研究科教授 垣内秀介
〇翻訳         中央大学大学院法務研究科教授    高田裕成

目 次 抜 粋

はしがき
[概説]ドイツ家庭事件・非訟事件手続法―概説
1 ドイツ家庭事件・非訟事件手続法の成立
2 法改正の目的
3 家庭事件・非訟事件手続法の構造
4 家庭事件・非訟事件手続法の特徴
5 日本法との関係
[翻訳]ドイツ家庭事件及び非訟事件の手続に関する法律
第1編 総則
第1章 総則規定
第2章 第一審の手続
第3章 決定
第4章 保全命令
第5章 上訴
第1節 抗告
第2節 法律抗告
第6章 手続費用の救助
第7章 費用
第8章 執行
第1節 総則規定
第2節 人身の引渡し及び交流の実施に関する裁判の執行
第3節 民事訴訟法による執行
第9章 外国との関連がある手続
第1節 国際法上の合意及び欧州連合の法令との関係
第2節 国際裁判管轄
第3節 外国の裁判の承認及び執行
第2編 家庭事件の手続
第1章 総則規定
第2章 婚姻事件の手続、離婚事件及び附帯事件の手続
第1節 婚姻事件の手続
第2節 離婚事件及び附帯事件の手続
第3章 親子関係事件の手続
第4章 実親子関係事件の手続
第5章 養子事件の手続
第6章 婚姻住居事件及び家財事件の手続
第7章 暴力保護事件の手続
第8章 年金調整事件の手続
第9章 扶養事件の手続
第1節 特別の手続規定
第2節 保全命令
第3節  未成年者の扶養についての簡易手続
第10章 婚姻財産制事件の手続
第11章 その他の家庭事件の手続
第12章 生活パートナーシップ事件の手続
第3編 世話事件及び収容事件の手続
第1章 世話事件の手続
第2章 収容事件の手続
第3章 世話裁判所の割当事件の手続
第4編 遺産事件及び分割事件の手続
第1章 定義、土地管轄
第2章 遺産事件の手続
第1節 一般的な規定
第2節 死因処分の保管
第3節 死因処分の開封〔Eröffnung〕
第4節 相続証書手続、遺言執行
第5節 手続に関するその他の規定
第3章 分割事件の手続
第5編及び第6編  略
第7編 自由剥奪事件の手続
第8編及び第9編  略


2023年11月発行

続・骨太 実務現代刑事法
植村立郎著 ISBN 978-4-86684-106-9
書籍コード 500515 A5判 740頁 定価 5,900円(本体 5,364)
 2019年に「平成」から「令和」へと元号が変わったが、30年超という、それなりの長さのあった平成の時代は、筆者にとっても仕事や生活が変わるなど、有意で変化のある期間であった。
 そして、刑事事実認定に関しても、最高裁発足以降、「昭和」、平成、令和と、時代が進んでいく過程で、裁判例が蓄積されていくだけでなく、対象事件が旧刑訴事件から新刑訴事件へと、裁判形式の中心が判決形式から決定形式へと、各移行していった。そして、事実認定の大きな流れとして、供述証拠中心の事実認定から、科学的証拠を踏まえた客観的事実、情況証拠を重視する事実認定へと、事実認定の手法が大きく変化する方向性が生まれ、継承され、発展していった。
 その中で、本稿は平成の時代を対象とすることとした。上記のように時代を経て蓄積されていく連続的な判例の動きを平成という一つの時代で切り取っているが、連続性に重点を置くと、「昭和」の時代の判例にも言及する必要があることになる。しかし、そうすると、平成の時代を対象とした視点が薄れる部分も出て来るところから、「昭和」の時代の判例には原則的には言及していない。
 他方、令和の時代の判例については、平成の時代の判例の発展形といった側面もあり、平成の時代の判例の理解を深めることになろうかとも考え、筆者が気付いて必要と考えたものは、関連判例の形で紹介している。
 平成の時代を取り出してみれば、事実認定に関する上記の流れをより良好で堅固なものとしたといえる。具体的には、@精密司法から核心司法へなどといわれるように、認定手法の改善が意識的に具体的な形で行われたこと(=意識の変化、具体性)、
 A各種の技術革新、社会の変化で、映像、音声、鑑定、検査等の良質な客観証拠が容易に、多数得られるようになり、事実認定の適性度が向上し、無用な事実認定上の争いをこれまで以上に解消できるようになっていったこと(証拠の変化)、
 B公判前整理手続は平成17年11月1日から、裁判員裁判が平成21年5月21日から、それぞれ開始され、また、平成2年に弁護士会の尽力によって当番弁護士制度が開始され、平成16年の法改正で被疑者国選制度が設けられ、順次その範囲が拡張され、平成28年の法改正で対象事件による制限もなくなって、勾留中の被疑者全員へとその対象が拡張された。このように、裁判制度そのものが変容することによって、手続面から事実認定の適正化を図る基盤が整備されたこと(=制度、手続の変化)
 などを指摘できよう。
 こういった変化を全体としてみれば、事実認定に関する環境が全面的に良好な方向へ変化したといえよう。
 本稿は、筆者のいわゆる判例評釈的な内容をつなぎ合わせたようなものではなく、事実認定の観点から当該判例を理解するとどうなるか、といった事柄が中心となっている。
 そして、発表に当たっては、限られた検討であるだけに、当該事件から得られる事実認定の観点から有益と思われる情報に焦点を当て、検討結果が分かりやすく伝えられるようにと心掛けた。
 筆者としては、本稿は筆者の私的な印象、考えを纏めたものにすぎないが、刑事事実認定や平成期の最高裁の刑事判例に興味を抱いた読者の手助けになればと願っている。
(はじめにより抜粋)

目 次 抜 粋

検討対象判例一覧
第1 はじめに
1 執筆の経緯
2 本稿の概観
3 検討対象の最高裁判例の概観
4 筆者が気付いたこと
5 本稿の表記
第2 事実認定
1 事実誤認の審査の意義等
2 合理的説明不能要件の意義
3 合理的な疑いを超える立証の意義、直接証拠と情況証拠とで立証の程度に差異のないこと
4 上訴審と事実誤認の判断
5 犯人性
6 犯罪性
7 証言の信用性の評価
8 概括的認定等
第3 複雑な事実認定が絡む個別事案の事実認定
1 犯人性
2 過失犯
第4 法的判断・解釈と事実認定
1 実行行為
2 実行の着手
3 因果関係
4 故意
5 正当防衛等
6 責任能力
7 共同正犯
8 幇助犯
第5 各種犯罪と事実認定
1 殺人
2 保護責任者不保護
3 交通が絡んだ死亡と因果関係
4 窃盗
5 常習特殊窃盗罪と一事不再理効
6 事後強盗(窃盗の機会継続性)
7 住居侵入
8 不動産侵奪
9 詐欺
10 横領(不法領得の意思)
11 特別背任
12 会社関係事件
13 恐喝(事件性)
14 贈収賄
15 刑法176条にいう「わいせつな行為」該当性
16 不特定の者
17 犯人蔵匿、証拠隠滅等
18 覚せい剤事犯
19 児童福祉法34条1項6号にいう「させる行為」
20 軽犯罪法1条2号にいう「正当な理由」の判断方法
第6 証拠
1 証拠能力
2 鑑定と「往来の危険」の認定
3 自白の信用性
第7 訴訟手続
1 証拠開示
2 訴訟能力
3 公判前整理手続
4 審理
5 判決
6 上訴審
第8 再審
1 累次の再審請求事件等
2 新証拠の信用性の審査
3 保管記録の閲覧請求
4 再審請求が不適法であることが明らかなときの手続
第9 医療観察法
1 医療観察法2条2項の対象行為該当性の判断方法
2 治療必要性の判断
第10 少年事件
1 家庭裁判所の事実調査に関する権限
2 少年抗告事件における事実取調べの範囲
3 少年保護事件の受差戻審における証拠調べと裁量
4 保護処分取消と非行事実の認定替え
第11 おわりに


令和4年最高裁判所規則(民事関係)逐条説明
法曹会編 ISBN 978-4-86684-107-6
書籍コード 500516 A5判 214頁 定価 2,450円(本体 2,227)
 本書は、「法曹時報」第74巻第4号、第7号、第11号、第12号に掲載された、近時の法改正に伴う規則の解説を取りまとめ、1冊の本として刊行するものである。相次ぐ法改正により、実務を取り巻く状況が目まぐるしく変化しているなかで、本書が実務に携わる方々の一助になれば幸いである。
(はしがきより)

目 次 抜 粋

第1編
「民事訴訟法第132条の10第1項に規定する電子情報処理組織を用いて取り扱う民事訴訟手続における申立てその他の申述等に関する規則」の解説
1 はじめに
2 システムの概要
3 電子申立て等の対象範囲等(本規則第1条関係)
4 電子申立て等の方式等(本規則第2条・本細則関係)
5 氏名又は名称を明らかにする措置(第3条関係)
6 電子情報処理組織による文書の写しの提出(第4条関係)
7 書類の送付の特則(第5条関係)
8 適用除外(第6条関係)
9 細則の官報告示(第7条関係)
10 施行期日(附則関係)
第2編
発信者情報開示命令事件手続規則の概要
T はじめに
U 本規則の概要
1 管轄に関する規律について
2 発信者情報開示命令の申立書に関する規律について
3 発信者情報開示命令申立書の写しの提出に関する規律について
4 提供命令及び消去禁止命令に関する規律について
5 直送に関する規律について
6 申立ての変更に関する規律について
7 申立ての取下げがあった場合の取扱い等に関する規律について
参考資料
第3編
共有に関する非訟事件及び土地等の管理に関する非訟事件に関する手続規則の概要
第1 はじめに
第2 本規則の概要
1 第1条(申立て等の方式・非訟事件手続法第85条、第87条、第88条、第90条及び第91条並びに表題部所有者不明土地法第19条及び第30条関係)
2 第2条(申立人に対する資料の提出の求め・非訟事件手続法第85条、第87条、第88条、第90条及び第91条並びに表題部所有者不明土地法第19条及び第30条関係)
3 第3条(裁判所書記官の事実調査・非訟事件手続法第85条、第87条、第88条、第90条及び第91条並びに表題部所有者不明土地法第19条及び第30条関係)
4 第4条(公告の方法等・非訟事件手続法第85条、第87条、第88条及び第90条関係)
5 第5条(申立書の記載事項・非訟事件手続法第85条関係)
6 第6条(申立書の添付書類・非訟事件手続法第85条関係)
7 第7条(公告すべき事項・非訟事件手続法第85条関係)
8 第8条(所在等不明共有者の持分の取得の裁判に係る非訟事件及び所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判に係る非訟事件の手続への準用・非訟事件手続法第87条及び第88条関係)
9 第9条(申立書の記載事項・非訟事件手続法第90条関係)
10 第10条(申立書の添付書類・非訟事件手続法第90条関係)
11 第11条(手続の進行に資する書類の提出・非訟事件手続法第90条関係)
12 第12条(公告すべき事項・非訟事件手続法第90条関係)
13 第13条(裁判による登記の嘱託・非訟事件手続法第90条関係)
14 第14条(資格証明書の交付等・非訟事件手続法第90条関係)
15 第15条(民法第二編第三章第五節の規定による非訟事件の手続への準用)
16 第16条(表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律の規定による非訟事件の手続への準用)
第4編
「民事訴訟規則等の一部を改正する規則」の解説
一 はじめに
二 秘匿制度等に関する規律
1 裁判所に提出すべき書面のファクシミリによる提出
2 申立ての方式(新法133条等関係)
3 秘匿事項届出書面の記載事項等(新法133条関係)
4 法第133条の2第2項の申立ての方式等(新法133条の2関係)
5 押印を必要とする書面の特例等
6 秘匿決定の一部が取り消された場合等の取扱い(新法133条の4関係)
7 宣誓(民訴法201条関係)
8 証人尋問の規定の準用(民訴法216条関係)
三 電話会議等及びウェブ会議等に関する規律
1 映像と音声の送受信による通話の方法による口頭弁論の期日(新法87条の2第1項関係)
2 音声の送受信による通話の方法による審尋の期日(新法87条の2第2項関係)
3 和解のための処置(新法89条関係)
4 弁論準備手続調書等(新法170条関係)
5 音声の送受信による通話の方法による協議(新法176条関係)
6 音声の送受信による通話の方法による進行協議期日
四 その他の規律
1 閲覧等の制限の申立ての方式等(新法92条関係)
2 写真の撮影等の制限
3 裁判所の審尋等への準用
五 関連規則の整備の概要
1 秘匿に関する民訴規則の規定を準用する規定を設ける改正等
2 電話会議等・ウェブ会議等により手続を行う場合に関する改正等
3 民訴規則77条の準用に関する改正
4 民事訴訟費用等に関する規則
5 民事執行規則
6 民事再生規則、外国倒産処理手続の承認援助に関する規則、会社更生規則、破産規則及び会社非訟事件手続規則
六 施行期日・経過措置
1 施行期日
2 調書の記載等に関する経過措置
(別表) 改正規則における準用一覧表


高等裁判所刑事裁判速報集(令和4年)
法務省大臣官房司法法制部編 ISBN 978-4-86684-105-2
書籍コード 500510 A5判 416頁 定価 5,900円(本体 5,364)
 本書は,全国の高等検察庁において作成した「高等裁判所刑事裁判速報」に掲載された裁判例のうち令和4年分を,各高等裁判所ごとに,その速報番号にしたがって収録したものであり,昭和56年度版から継続的に刊行されているものである。この速報集は,その編集方針上,類書とは収録重点を異にした特色ある裁判例集として,検察内部のみならず,部外の法曹においても頻繁に利用されてきたものであって,裁判月日別索引も掲げられ,利用価値の高い資料となっている。


裁判所データブック 2023
最高裁判所事務総局編 ISBN 978-4-86684-108-3
書籍コード 500517 A4判 120頁 定価 1,100円(本体 1,000)
 本書は,裁判所の機構及び事件統計について,数値や図表を用いて分かりやすく掲載しています。裁判所の種類及び数,下級裁判所の名称,裁判所機構図,裁判所審級図,裁判所職員の定員,執行官の数,調停委員の数,裁判官・検察官の報酬,裁判所の予算額等の裁判所の組織関係のデータに加えて,日本における法曹人口の推移や,司法修習生の数等,裁判所に関連する周囲のデータについても幅広く掲載するとともに,事件の平均審理期間の推移,民事及び刑事の第一審新受事件数の累年比較,全裁判所の新受事件数,全裁判所の事件の種類別の新受,既済及び未済件数,最高裁判所の民事及び刑事上告事件の累年比較,最高裁判所の上告等事件の上告理由などのさまざまな事件統計についても最新のデータを用いてコンパクトにまとめています。各種のデータには,必要最小限の分かりやすい説明文を付し,データを通して裁判所の機構及び事件処理状況を一般の方にも広く理解していただけるように工夫されており,裁判所の全体像の把握についての画期的な資料となっています。

目 次 抜 粋

第1部 組織関係
1 裁判所の組織
§1 裁判所の種類及び数並びに検察審査会の数
§2 下級裁判所及び検察審査会の名称
§3 裁判所機構図
§4 裁判所審級図
2 裁判所の職員
§1 裁判所職員(執行官を除く。)の定員
§2 執行官の数
§3 調停官の数
§4 民事調停委員及び家事調停委員の数
§5 司法委員及び参与員の数
§6 鑑定委員の数
§7 専門委員の数
§8 労働審判員の数
§9 選任された裁判員及び補充裁判員の数
3 裁判官の報酬等
4 裁判所の予算
 予算額
5 その他の参考事項(裁判官以外の司法関係者の資料を含む。)
§1 日本における法曹人口及び総人口の推移
§2 弁護士の数と人口との関係
§3 司法修習生の数(採用者数)
§4 終了者の進路別人数
第2部 事件の統計
第1 事件数
1 全裁判所の新受全事件数
2 民事事件
§1 民事・行政訴訟事件
§2 民事調停事件
§3 民事執行事件
§4 民事保全事件
§5 倒産事件
§6 少額訴訟事件(簡易裁判所)
§7 配偶者暴力等に関する保護命令事件
§8 労働審判事件−地方裁判所
3 刑事事件
§1 刑事訴訟事件
§2 被疑者段階の国選弁護人請求の処理状況
§3 刑事通常第一審における弁護人が選任された人員
§4 刑事通常第一審における通訳翻訳人の付いた外国人事件の推移(地方裁判所・簡易裁判所総数)
§5 刑事通常第一審における裁判員裁判対象事件(地方裁判所)
§6 刑事損害賠償命令事件(地方裁判所)
4 家事事件及び人事訴訟事件
§1 家事審判事件
§2 家事調停事件
§3 人事訴訟事件
§4 成年後見関係事件
§5 子の返還申立事件
5 少年事件
§1 少年保護事件人員の歴年比較
§2 少年保護事件の終局事由別人員数
§3 一般保護事件の既済人員−付添人の種類別−全家庭裁判所
6 医療観察事件
§1 医療観察処遇事件−地方裁判所
§2 医療観察処遇事件の受理区分別新受、既済、未済人員数−地方裁判所
§3 医療観察処遇事件の終局総人員−終局区分別−地方裁判所
第2 審理期間
1 訴訟事件
§1 民事事件
§2 刑事事件
2 調停事件
§1 民事調停事件
§2 家事調停事件
3 民事執行事件
 不動産執行事件
第3 検察審査会の事件の処理状況

付録 証人等日当及び宿泊(止宿)料
全国裁判所所在地図
全国の裁判所の所在地及び電話番号一覧


2023年9月発行

対話で進める争点整理
司法研修所編 ISBN 978-4-86684-104-5
書籍コード 500509 A4判 338頁 定価 3,850円(本体 3,500)
 本書は、一つの事例を素材として、司法修習生が、民事訴訟における争点及び証拠の整理(以下「争点整理」という。)の進行について具体的なイメージを持つことができるよう、また、争点整理の過程における個々の訴訟指揮・訴訟活動の意図や根拠に対する理解を深めることができるよう、民事裁判教官室と民事弁護教官室とが共同で作成した教材である。
 本書では、期日における裁判官と訴訟代理人とのやり取りを「裁判官と訴訟代理人との対話」という形で、裁判官及び訴訟代理人の期日前・期日間における準備の過程を「司法修習生との対話」という形で、それぞれ再現した。「裁判官と訴訟代理人との対話」と提出された準備書面等を中心に読み進むことにより、争点整理の進行について具体的なイメージを持つことができるはずである。また、「司法修習生との対話」の中で、訴え提起から争点整理手続の終結に至るまでの、裁判官の訴訟指揮や訴訟代理人の訴訟活動の意図や根拠が明らかになるように努めている。
 本書は、争点整理に関する一般的な説明については、「争点整理総論」として必要最小限に取り上げるにとどめ、具体的な事例における個々の訴訟指揮や訴訟活動の説明に注力している。具体的な個々の場面で裁判官や訴訟代理人としてどう考え、どう対応すべきかの学修なくして、争点整理に必要とされる知識や技法を真に理解することはできず、逆に、そのような学修は、ほかの事案にも通じる汎用性ある考え方を修得する近道であるからである。
 「民事訴訟法等の一部を改正する法律」(令和4年法律第48号)が令和4年5月に公布され、ウェブ会議による双方不出頭の弁論準備手続等が本年3月から実施されているところ、民事訴訟のデジタル化の進展やそれを踏まえた審理方法の工夫により、今後、争点整理の進行の在り方がどのように変わっていくのかについても、注視する必要があろう。
 本書における個々の訴訟指揮や訴訟活動については、当然、別の考え方もあり得る。本書がそのような別の考え方を否定するものではないことはいうまでもない。司法修習生には、本書をいわば叩き台として、争点整理の運用面と理論面の双方について、自ら考え、仲間同士で議論し、争点整理の在り方について理解を深めてもらいたい。
司法研修所民事裁判教官室
司法研修所民事弁護教官室
(はしがきより)

目 次 抜 粋

第1章 争点整理総論
第1 争点整理の目的
第2  争点整理に求められるスキルとマインド
1 主張分析能力と事実認定能力
2 見通し力と紛争解決マインド
3 書面と口頭との使い分け
第3 訴訟代理人から見た争点整理
1  訴訟代理人から見た争点整理の必要性
2  訴訟手続の進行と訴訟代理人から見た争点整理
3  訴訟代理人が争点整理において果たす役割
第4  裁判所(裁判官)から見た争点整理
1 判決書作成との関係
2  裁判所(裁判官)が争点整理において果たす役割
第2章 事例
事案の概要等、関係図、時系列
第1 第1回口頭弁論期日まで
第2 第1回弁論準備手続期日まで
第3 第2回弁論準備手続期日まで
第4 第3回弁論準備手続期日まで
第5 第4回弁論準備手続期日まで
事件記録
索引


2023年7月発行

検察講義案(令和3年版)
司法研修所検察教官室編 ISBN 978-4-86684-103-8
書籍コード 500508 A4判 256頁 定価 3,850円(本体 3,500)
 本書は、司法修習生の検察修習のための教材として、昭和24年3月に司法研修所検察教官によって取りまとめられて以来、歴代の検察教官によって改訂が重ねられてきた講義案のうち、内部限りの資料にとどまる部分を削除して公刊されたものです。
 前回改訂が行われてから3年が経過し、その間「取調べの録音録画制度の導入などに係る刑事訴訟法等の一部を改正する法律」「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律の一部を改正する法律」等が施行され、また、児童虐待事案における児童相談所との連携を始め、関係機関との更なる連携強化が推進されるなどの動きがあったので、これに即した整理、補正を行う必要が生じ、ここに改訂版を送り出すことになった。今回の改訂に当たっては、従来の検察講義案の基本的構成をそのまま踏襲しながらも、できる限り検察事務の処理の実情に沿うよう配意しつつ、前記各法律等の内容も取り入れて、本文を加筆補正し、利用の便を図りました。
 本書の、第1章では検察機構の説明がされ、第2章以下では、捜査、事件の処理、第一審公判手続等の検察官が関与する刑事手続について、関係する判例や事務処理の実情等を折り込みつつ、詳細な説明がなされ、更に、付録として、起訴状等の検察官が作成する書類の記載例等も掲載されており、刑事司法に携わる実務家を始めとして広く一般の人々にとって、検察事務を理解するうえで有益な資料です。
 司法修習生のみならず実務に携わる各位の好個の参考資料と思われますので、頒布することといたしました。

目 次 抜 粋

検察の理念
第1章 検察機構
第1節 序 説
第1 検察制度の沿革
第2 我が国の検察制度
第2節 検察権
第1 検察権の意義
第2 検察権の内容
第3  検察権の行使についての管轄
第3節 検察官
第1 検察官の意義・独立性
第2 検察官の組織性
第3 検察官の心構え
第4節 検察庁
第1 検察庁の意義
第2 検察庁の種類等
第2章 捜 査
第1節 総 論
第1 捜査の意義
第2 捜査機関
第2節 各 論
第1 捜査の開始
第2 捜査の実行
第3 捜査書類の作成
第3章 事件の処理
第1節 総 論
第1 事件の処理の意義
第2 事件の処理の基準
第3 事件の処理の区分
第2節 各 論
第1 公訴の提起
第2 不起訴処分
第3 中間処分
第4 事件処理に関する諸制度
第4章 第一審公判手続
第1節 序 説
第1 公判立会いの検察官
第2 公判手続の概要
第2節 公判立会いの準備
第1 起訴状の点検、記録の検討及び証拠物の整理
第2 証拠調べ請求の準備
第3 証拠の閲覧の機会の付与
第4 公判前整理手続等
第3節 冒頭手続
第1 訴訟関係人の出廷と人定質問
第2 起訴状の朗読
第3 起訴状の訂正・釈明
第4 被告人及び弁護人の意見の陳述
第4節 証拠調べ手続
第1 冒頭陳述
第2 公判前整理手続(期日間整理手続)の結果の顕出
第3 証拠調べの請求
第4 証拠決定
第5 証拠調べの実施
第6 公判期日外の手続
第5節 異議の申立て
第1 証拠調べに関する異議
第2 裁判長の処分に対する異議
第3 異議申立てに対する決定
第6節  訴因・罰条の追加、撤回、変更等
第1 意 義
第2 訴因変更等の限界
第3 訴因変更等の手続の要否
第4 訴因変更等の手続
第5 公訴の取消し
第7節 被害者参加制度等
第1 被害者参加制度
第2 被害者参加人のための国選弁護制度
第3 公判期日等に出席した被害者参加人に対する旅費等支給制度
第4 被害者等の情報を保護するための制度
第5 被害者等の意見陳述制度
第6 被害者等の公判手続の傍聴
第7 係属事件の公判記録の閲覧及び謄写
第8 刑事和解
第9 損害賠償命令
第10 被害回復給付金支給制度
第11 その他
第8節 論 告
第1 意 義
第2 要 領
第9節 終局裁判
第1 形式裁判
第2 実体裁判
第10節 被告人の身柄に関する事項
第1 勾留理由の開示
第2 勾留期間の更新
第3 保釈、勾留の取消し及び勾留の執行停止等
第4章の2 裁判員制度
第1 裁判員制度導入の意義
第2 裁判員制度の概略
第5章 上 訴
第1節 総 論
第1 意 義
第2 種 類
第3 通 則
第2節 各 論
第1 控 訴
第2 上 告
第3 抗 告
第6章 再審及び非常上告
第1節 再 審
第1 意 義
第2 再審の理由
第3 再審の請求
第4 再審請求に対する決定
第5 再審の審判
第2節 非常上告
第1 意 義
第2 非常上告の理由
第3 非常上告の申立て
第4 非常上告の申立てに対する裁判
第7章 裁判の執行
第1節 総 論
第1 意 義
第2 執行の時期
第3 執行指揮
第4 執行機関
第5 刑の執行の順序
第6 刑の執行不能決定
第2節 各 論
第1 死刑の執行
第2 自由刑の執行
第3 財産刑等の執行
第4 押収物に関する決定、命令の執行
第5 執行費用の徴収
第6 裁判の執行に関する照会
第7 裁判の執行に対する救済
第8章 少年、交通及び外事各事件に関する特例並びに刑事に関する国際協力
第1節 少年事件
第1 捜査の特例
第2 事件処理の特例
第3 公判の特例
第4 少年法等の一部を改正する法律について
第2節 交通反則通告制度
第1 手続の特例
第2 事件処理の特例
第3節 外事事件
第1 一般外国人
第2 外交使節、外国軍隊等
第4節 刑事に関する国際協力
第1 序 説
第2 捜査共助
第3 逃亡犯罪人の引渡し
第4 外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法
第5 国際受刑者移送法
付録目次
第1 法務省機構概要図
第2 検察庁系統図
第3 起訴状等の記載例
第4 証明予定事実記載書等の記載例
第5 論告要旨の記載例


2023年5月発行

財産管理事件における書記官事務の研究
裁判所職員総合研修所監修(書記官実務研究報告書第19号) ISBN 978-4-86684-102-1
書籍コード 500507 B5判 406頁 定価 4,400円(本体 4,000)
 本書は、家庭裁判所で取り扱う財産管理事件のうち、特に研究の必要性が高いと考えられた三つの事件類型に関する書記官事務の研究報告書です。
 これらの事件類型については、家事事件手続法の制定による影響はさほど大きくなく、一定数の文献資料も存在するため、研究当初の段階では、これまでの知見を集約しつつ、書記官事務に即して整理し直すという作業に尽きるものと少し気軽に考えていました。しかし、研究に着手して間もなく成立した民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)の趣旨や内容を理解した上で、新たな運用を可能な範囲で予測する必要があったほか、書記官事務については50年以上ぶりとなる研究となるために、多くの論点を研究し直さなければならなかったり、基本的に即時抗告が認められない手続であるため、具体的な裁判例の収集が難しかったりと、様々な課題がありました。
 これらの課題を克服し、完成した本報告書ですが、幾ら調べても一つの明確な結論に至らない論点も存在したため、複数の考え方を紹介したり、コラムの中で考え方を説明したりして、事務処理に当たる書記官が合理的な事務処理を考える上で参考にしていただけるような工夫をしました。これらの事情から、本報告書は、マニュアルのような使い方ではなく、実務上の疑問に直面した際に、書記官室での検討のたたき台として活用していただくことを想定していますし、それによって、各書記官が主体的に事件に関与し、より良い司法サービスの提供につながることを期待しています。
(はしがきより)

目 次 抜 粋

序論
第1編 総論
第1章 財産管理事件の基礎知識
第1 総説
第2 沿革
第3 財産管理事件の全体像
第4 不在者財産管理事件の概要
第5 相続財産管理(清算)事件[民952]の概要
第6 相続財産管理事件[民918U等・改正後民897の2]の概要
第7 事件類型の比較
第2章 新たな立法措置等
第1 全体像
第2 空家等対策の推進に関する特別措置法
第3 財務局による国庫帰属不動産の取扱い
第4 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法
第5 表題部所有者不明土地の登記及び管理の適格化に関する法律
第6 民法等の一部を改正する法律
第3章 共通する事務処理
第1 事件記録の取扱い
第2 渉外事件
第3 家事審判法適用事件の取扱い
第2編 各論
第1章 不在者財産管理事件
第1節 選任申立事件の処理
第1 総説
第2 家事手続案内
第3 申立て
第4 審理
第5 申立人の死亡等
第6 選任審判以外での終局
第7 選任審判
第2節 管理継続中の事務処理
第1 総論
第2 管理方針の定立
第3 管理人との連携
第4 初回報告
第5 権限外行為許可の申立て
第6 担保の提供を命ずる審判
第7 定期報告・臨時報告
第8 組織的な対応
第3節 管理人に対する報酬付与手続
第1 総説
第2 申立て
第3 書記官による審査
第4 審判
第5 不在者財産管理人の死亡
第6 保管金からの支払
第7 マイナンバーの提出
第4節 管理終了
第1 総説
第2 管理終了報告
第3 選任審判の取消し、管理終了認定
第4 管理終了後の財産の発見等
第2章 相続財産管理(清算)事件[民952]
第1節 選任申立事件の処理
第1 総説
第2 家事手続案内
第3 申立て
第4 審理
第5 申立人の死亡等
第6 選任審判以外での終局
第7 選任審判
第8 選任公告
第2節 管理継続中の事務処理
第1 総論
第2 管理方針の定立
第3 管理人(清算人)との連携
第4 初回報告
第5 管理人(清算人)による清算手続
第6 相続人捜索の公告
第7 権限外行為許可の申立て
第8 担保の提供を命ずる審判
第9 定期報告・臨時報告
第10 組織的な対応
第3節 特別縁故者に対する相続財産の分与
第1 総説
第2 特別縁故者の範囲
第3 分与の相当性
第4 申立て
第5 審理
第6 審判
第7 即時抗告
第8 分与審判の確定
第9 分与の実行
第10 分与審判後の新たな相続財産の発見
第4節 残余財産の処分
第1 共有者への帰属
第2 国庫帰属
第5節 管理人(清算人)に対する報酬付与手続
第1 総説
第2 申立て
第3 書記官による審査
第4 審判
第5 相続財産管理人(清算人)の死亡
第6 保管金からの支払
第7 マイナンバーの提出
第6節 管理終了
第1 総説
第2 管理終了報告
第3 選任審判の取消し、管理終了認定
第4 管理終了後の財産の発見等
第3章 相続財産管理事件[民918U等・改正後民 897の2]
第1節 選任申立事件の処理
第1 総説
第2 家事手続案内
第3 申立て
第4 審理
第5 申立人の死亡等
第6 選任審判以外での終局
第7 選任審判
第2節 管理継続中の事務処理
第1 総論
第2 管理方針の定立
第3 管理人との連携
第4 初回報告
第5 権限外行為許可の申立て
第6 担保の提供を命ずる審判
第7 定期報告・臨時報告
第8 組織的な対応
第3節 管理人に対する報酬付与手続
第1 総説
第2 申立て
第3 書記官による審査
第4 審判
第5 相続財産管理人の死亡
第6 保管金からの支払
第7 マイナンバーの提出
第4節 管理終了
第1 総説
第2 管理終了報告
第3 選任審判の取消し、管理終了認定


司法研修所論集 2022(第132号)
司法研修所編 ISBN 978-4-86684-100-7
書籍コード 500501 A5判 176頁 定価 2,500円(本体 2,273)
講 演
憲法の変遷とその限界
アンドレアス・フォスクーレ
鈴木 秀美
栗島 智明(訳)
令和3年少年法改正について
川出 敏裕
近時のM&Aをめぐる法的問題
田中  亘


家裁調査官研究紀要 第32号
裁判所職員総合研修所監修 ISBN 978-4-86684-101-4
書籍コード 500502 B5判 276頁 定価 5,600円(本体 5,091)
研 究
低年齢から反社会的行動を繰り返している少年の調査について
奥井 衣代 ほか
子の監護をめぐる調停事件における父母との協働に基づく調査手法の検討
―サインズ・オブ・セーフティ・アプローチの観点から―
橋本 恭子 ほか
子の視点に立った父母の主体的な解決に資する調査面接上の工夫について
―事実の把握と密接不可分に行われる働き掛けを意識して―
梨田 春樹 ほか
調査面接における効果的な技法の活用及び研さんの実証的研究
中谷 浩章 ほか
動機づけ面接の効果的な活用及び研さんに関する研究
延味 武彦 ほか



2023年3月発行

最高裁判所判例解説 民事篇(上)(1月〜6月分)(令和2年度)
法曹会編 ISBN 978-4-86684-096-3
書籍コード 206202 A5判上製函入 約372頁 定価 5,250円(本体 4,773)
最高裁判所判例解説 民事篇(下)(7月〜12月分)(令和2年度)
法曹会編 ISBN 978-4-86684-097-0
書籍コード 208202 A5判上製函入 約508頁 定価 7,300円(本体 6,636)
最高裁判所判例解説 刑事篇(令和2年度)
法曹会編 ISBN 978-4-86684-099-4
書籍コード 210202 A5判上製函入 約286頁 定価 4,250円(本体 3,864)
 令和2年度の最高裁判所判例集に登載された民事判例30件、刑事判例12件のすべてについて、最高裁判所の調査官が判示事項、裁判の要旨等を摘示し、かつ、当該裁判について個人的意見に基づいて解説したもの(民事篇については、法曹時報第73巻第6号より第74巻第12号を、刑事篇については、法曹時報第73巻第6号より第75巻第2号までに掲載)を集録したものです。民事篇については、(上)(下)の2分冊となります。


改訂 事例で考える民事事実認定
司法研修所編 ISBN 978-4-86684-093-2
書籍コード 500503 A5判 130頁 定価 1,980円(本体 1,800)
 この「事例で考える民事事実認定」は、民事事件において適正な事実認定は判断の基礎をなすものとして何より重要であり、錯そうする証拠関係を的確に評価して事実を認定する事実認定能力は、法律実務家にとって最も基本的で不可欠な能力であることに鑑み、司法修習生が、司法修習の課程において、法科大学院等で学修した民事事実認定の基礎的知識の理解を確認するとともに、民事事実認定に関する一般的かつ基本的な手法を修得するための思考方法や検討の視点などを提示しようとするものである。
(はしがきより抜粋)
 今般の改訂において特に重要な点は、民事訴訟における争点及び証拠の整理(以下「争点整理」という。)の重要性に鑑み、争点整理と事実認定との関係を意識したこと、より具体的には、裁判所が、争点整理の手続において、どのような事実を基礎として心証を形成していき、証拠調べを経て最終的な認定判断に至るかといった、実際の民事訴訟における審理の過程を踏まえて、民事事実認定の基本的な手法(取り分け、動かし難い事実の内容及び位置付け)についての整理を試みたことである。
 改訂に当たって、改めて強調したい点は、本書の使い方としては、本書の末尾に収録されている事例について、自ら、実際に事実認定を行って、要証事実が認められるかどうかを検討することが不可欠であるという点である。
 司法修習生が、本書の具体的な事例の検討を通じて、民事事実認定の基本的な手法を身に付け、事実認定能力を向上させることを期待している。
(改訂に当たってより抜粋)

目 次 抜 粋

はじめに
第1 事実認定の対象と構造
1 事実認定の対象
(1) 事案の概要
(2) 主張分析
(3) 事実認定の対象
2 事実認定の構造
第2 証拠と判断の枠組み
1 証拠
(1) 書証
(2) 文書の形式的証拠力
(3) 文書の実質的証拠力
(4) 人証
(5) 経験則
2 判断の枠組み
(1) 判断の枠組みを考える理由
(2) 判断枠組みごとの判断構造
(3) 本件の判断枠組み
第3 事例の検討
1 導入
(1) 時系列及び関係図の作成
(2) ストーリーと動かし難い事実
(3) 動かし難い事実の抽出
(4) 「動かし難い事実」を中心とする間接事実によるストーリーの検討
(5) 間接事実の関連性を評価するための視点
2 本件借用書の変造可能性
3 原告の資金状況
4 借入れの動機・必要性
5 本件貸金契約締結時の行動
6 1000万円弁済時の行動
7 1000万円弁済後の事情
8 総合判断
事例
索引


改訂 新問題研究 要件事実
司法研修所編 ISBN 978-4-86684-094-9
書籍コード 500504 A5判 176頁 定価 2,200円(本体 2,000)
 本書は、法科大学院の学生をはじめとした、これから要件事実についての考え方を学ぼうとする者を対象として、典型的な訴訟物及び攻撃防御方法を題材に、要件事実についての基本的な考え方を解説したものである。
 本書では、売買契約に基づく代金支払請求訴訟、貸金返還請求訴訟、所有権に基づく不動産明渡請求訴訟、不動産登記手続請求訴訟、賃貸借契約の終了に基づく不動産明渡請求訴訟、動産引渡請求訴訟の六つの訴訟類型について、それぞれ当事者双方の言い分を記載した具体的な設例に基づき、要件事実についての考え方が平易に解説されており、本書を利用して学ぶことで基礎的な知識が習得できるようになっている。紛争となっている具体的な事実関係を法的に分析し、問題点を整理する能力が求められる法律実務家を目指す者にとって、本書は必読の一冊であるといえよう。

(改訂に当たってより)
 「民法の一部を改正する法律」(平成29年法律第44号)により、民法のうち債権関係の分野について全面的な改正が行われた(一部の例外を除いて令和2年4月1日施行)。
 そこで、上記の改正に即した改訂を行った。

目 次 抜 粋

第1章 売買契約に基づく代金支払請求訴訟
第1問 売買代金支払請求
第2問 売買代金支払請求(消滅時効の抗弁)
第3問 売買代金支払請求(履行期限の抗弁)
第2章 貸金返還請求訴訟
第4問 貸金返還請求
第5問 貸金返還請求(弁済の抗弁)
第3章 所有権に基づく不動産明渡請求訴訟
第6問 土地明渡請求(所有権喪失の抗弁)
第7問 土地明渡請求(対抗要件の抗弁)
第8問  土地明渡請求(対抗要件具備による所有権喪失の抗弁)
第4章 不動産登記手続請求訴
第9問  所有権移転登記抹消登記手続請求(所有権喪失の抗弁)
第10問 所有権移転登記手続請求(取得時効)
第11問  抵当権設定登記抹消登記手続請求(登記保持権原の抗弁)
第5章 賃貸借契約の終了に基づく不動産明渡請求訴訟
第12問  土地明渡請求(民法上の期間満了による賃貸借終了、建物所有目的の抗弁)
第6章 動産引渡請求訴訟
第13問  動産引渡請求(即時取得、悪意の抗弁、過失の抗弁)
判例索引
事項索引


4訂 紛争類型別の要件事実
      ―民事訴訟における攻撃防御の構造―
司法研修所編 ISBN 978-4-86684-095-6
書籍コード 500505 A5判 256頁 定価 3,300円(本体 3,000)
 当教官室では、令和3年2月に、「民法の一部を改正する法律」(平成29年法律第44号)による民法(債権関係)の改正に即した改訂等を行い、「3訂 紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造」を発刊し、同年10月に、その追補として、債権者代位訴訟及び詐害行為取消訴訟についての解説を作成し、別冊「3訂 紛争類型別の要件事実 追補 民事訴訟における攻撃防御の構造」を発刊したところである。この度、これらを1冊に合本した上、請負関係訴訟についての解説を新たに加えて、「4訂 紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造」を発刊したものである。
(4訂に当たってより)

目  次

第1章 売買契約に基づく代金支払請求訴訟及び目的物引渡請求訴訟
第1 はじめに
第2 売買代金支払請求
1 設例
2 訴訟物
(1) 結論
(2) 一部請求
3 請求原因
(1) 売買代金支払請求
ア 代金額
イ 代金支払時期
ウ 目的物の引渡し、所有
(2) 附帯請求
ア 遅延損害金(遅延利息)説
イ 法定利息説
4 抗弁以下の攻撃防御方法
(1) 条件、期限
(2) 同時履行
ア 同時履行の抗弁
イ 先履行の合意の再抗弁
ウ 反対給付の履行の再抗弁
(3) 弁済
ア 弁済の要件事実
イ 一部請求と弁済の抗弁
(4) 法定解除
ア 催告による解除(履行遅滞)
イ 催告による解除(目的物の契約不適合)
ウ 催告によらない解除(履行不能)
(5) 危険負担に基づく履行拒絶の抗弁
(6) 約定解除
ア 手付解除の抗弁
イ 手付解除に対する再抗弁
5 抗弁相互の関係
第3 目的物引渡請求
1 設例
2 訴訟物
3 請求原因
4 抗弁以下の攻撃防御方法
(1) 同時履行
(2) 債務不履行解除の場合の特約等
ア 停止期限付解除
イ 無催告解除特約
ウ 弁済の提供の再抗弁
エ 当然解除特約(失権約款)
(3) 手付契約に基づく解除
 売買契約に基づく代金支払請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
 売買契約に基づく目的物引渡請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
 
第2章 貸金返還請求訴訟及び保証債務履行請求訴訟
第1 はじめに
第2 消費貸借契約に基づく貸金返還請求
1 設例
2 訴訟物
3 請求原因
(1) 消費貸借契約に基づく貸金返還請求
ア 弁済期の定めのある場合
イ 弁済期の定めのない場合
ウ 期限の利益喪失約款
エ 利息の天引
(2) 利息請求
(3) 遅延損害金請求
4 抗弁以下の攻撃防御方法
(1) 弁済
(2) 相殺
(3) 消滅時効
ア 客観的起算点からの消滅時効
イ 主観的起算点からの消滅時効
ウ 時効の更新
エ 時効の完成猶予
オ 時効援用権の喪失
第3 諾成的消費貸借契約に基づく貸金返還請求
1 設例
2 訴訟物
3 請求原因
(1) 諾成的消費貸借契約に基づく貸金返還請求
(2) 利息請求
(3) 遅延損害金請求
4 抗弁以下の攻撃防御方法
5 諾成的消費貸借契約に基づく借主の金銭交付請求
第4 保証債務履行請求
1 設例
2 訴訟物
3 請求原因
(1) 要件事実
(2) 主たる債務
(3) 保証の対象
(4) 連帯の約定
4 代理
(1) 設例
(2) 代理の要件事実
5 抗弁以下の攻撃防御方法
(1) 消滅時効
(2) 相殺、取消し、解除
(3) 事業に係る債務についての保証契約の特則
 消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
 保証債務履行請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
 
第3章 所有権に基づく不動産明渡請求訴訟
第1 はじめに
第2 土地明渡請求
1 設例
2 訴訟物
(1) 主たる請求の訴訟物
(2) 附帯請求としての損害金請求の訴訟物
3 請求原因
(1) 明渡請求
(2) 損害金請求
4 抗弁以下の攻撃防御方法
(1) 抗弁の類型
(2) 所有権喪失の抗弁
(3) 対抗要件の抗弁
(4) 占有権原の抗弁
第3 建物収去土地明渡請求
1 設例
2 訴訟物
3 請求原因
4 抗弁以下の攻撃防御方法
 所有権に基づく土地明渡請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
 所有権に基づく建物収去土地明渡請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
 
第4章 不動産登記手続請求訴訟
第1 はじめに
第2 登記請求権
1 物権的登記請求権
2 債権的登記請求権
3 物権変動的登記請求権
第3 登記手続請求訴訟における訴訟物及び典型的攻撃防御の構造
1 所有権移転登記抹消登記手続請求
(1) 設例
(2) 訴訟物
(3) 請求原因
(4) 抗弁以下の攻撃防御方法
2 真正な登記名義の回復を原因とする抹消に代わる所有権移転登記手続請求
(1) 設例
(2) 訴訟物
(3) 請求原因及び抗弁以下の攻撃防御の構造
3 時効取得を原因とする所有権移転登記手続請求
(1) 設例
(2) 訴訟物
(3) 請求原因
(4) 抗弁以下の攻撃防御の構造
4 抵当権設定登記抹消登記手続請求
(1) 設例
(2) 訴訟物
(3) 請求原因
(4) 抗弁以下の攻撃防御方法
5 登記上利害関係を有する第三者に対する承諾請求
(1) 設例
(2) 訴訟物
ア Y1に対する請求の訴訟物
イ Y2に対する請求の訴訟物
(3) 請求原因
(4) 抗弁以下の攻撃防御方法
6 真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続請求
(1) 設例
(2) 訴訟物
(3) 請求原因
(4) 抗弁以下の攻撃防御方法
7 売買契約に基づく所有権移転登記手続請求
(1) 設例
(2) 訴訟物
(3) 請求原因
(4) 抗弁以下の攻撃防御方法
 不動産登記手続請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
 
第5章 賃貸借契約の終了に基づく不動産明渡請求訴訟
第1 はじめに
第2 訴訟物
1 主たる請求の訴訟物
(1) 終了原因との関係
(2) 収去義務との関係
2 附帯請求の訴訟物
第3 典型的攻撃防御の構造
1 賃貸借契約の終了に基づく建物収去土地明渡請求訴訟における請求原因
2 終了原因として期間満了が主張された場合の攻撃防御の構造
(1) 期間満了
(2) 建物所有目的の抗弁とこれに関連する攻撃防御方法
ア 建物所有目的
イ 一時使用
ウ 一時使用の評価障害事実
(3) 黙示の更新の抗弁とこれに関連する攻撃防御方法
ア 黙示の更新
イ 更新合意の不成立
(4) 土地使用継続による法定更新の抗弁とこれに関連する攻撃防御方法
ア 土地使用継続による法定更新
イ 遅滞なき異議
3 終了原因として解約の申入れが主張された場合の攻撃防御の構造
(1) 解約の申入れ
(2) 建物所有目的
4 終了原因として解除が主張された場合の攻撃防御の構造
(1) 賃料不払による解除とこれに関連する攻撃防御方法
ア 賃料不払による解除
イ 弁済の提供
(2) 増改築禁止特約違反による解除とこれに関連する攻撃防御方法
ア 増改築禁止特約違反による解除
イ 信頼関係を破壊するおそれがあると認めるに足りない事情
 賃貸借契約終了に基づく建物収去土地明渡請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
 
第6章 動産引渡請求訴訟
第1 はじめに
第2 訴訟物
1 動産引渡請求
2 損害金請求
3 執行不奏効の場合の代償請求
第3 請求原因
1 動産引渡請求
2 損害金請求
3 執行不奏効の場合の代償請求
第4 抗弁以下の攻撃防御方法
1 所有権喪失の抗弁
(1) 売買
(2) 代物弁済
(3) 即時取得
2 動産が二重に譲渡された場合の対抗要件の抗弁又は対抗要件具備による所有権喪失の抗弁
(1) 対抗要件の抗弁
(2) 対抗要件具備による所有権喪失の抗弁
(3) 解除と第三者
3 占有権原の抗弁
 所有権に基づく動産引渡請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
 
第7章 譲受債権請求訴訟
第1 はじめに
第2 訴訟物
第3 請求原因
1 要件事実
2 譲受債権の発生原因事実
3 債権譲渡と原因行為
第4 抗弁以下の攻撃防御方法
1 譲渡制限特約
(1) 履行拒絶
ア 譲渡制限特約による履行拒絶の抗弁
イ 履行催告の再抗弁
ウ 承諾の再抗弁
(2) 譲渡人に対する債務消滅事由
ア 譲渡人に対する弁済の抗弁
イ 先立つ履行催告の再抗弁
(3) 供託の抗弁
2 債務者対抗要件
(1) 債務者対抗要件の抗弁
(2) 債務者対抗要件具備の再抗弁
3 譲渡人に対して生じた事由
(1) 譲渡人に対して生じた事由についての抗弁
(2) 先立つ債務者対抗要件の再抗弁
(3) 抗弁の放棄の再抗弁
4 第三者対抗要件
(1) 第三者対抗要件の抗弁
(2) 第三者対抗要件具備の再抗弁
5 第三者対抗要件具備による債権喪失
(1) 債権喪失の抗弁
(2) 第三者対抗要件具備の再抗弁
(3) 先立つ第三者対抗要件具備の再々抗弁
(4) 時的因子との関係
(5) 抗弁相互の関係
6 債権の二重譲受人に対する弁済
(1) 債権の二重譲受人に対する弁済の抗弁
(2) 弁済に先立つ第三者対抗要件具備の再抗弁
(3) 弁済に先立つ第三者対抗要件具備の再々抗弁
(4) 受領権者としての外観を有する者に対する弁済
 譲受債権請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
 
第8章 債権者代位訴訟
第1 はじめに
第2 責任財産を保全するための債権者代位訴訟
1 設例
2 訴訟物
3 請求原因
(1) 要件事実
(2) 被保全債権の発生原因事実
(3) 自己の財産を保全するため必要があること(債務者の無資力)
(4) 被代位権利の発生原因事実
4 抗弁以下の攻撃防御方法
(1) 被保全債権の期限の合意
ア 期限の合意の抗弁
イ 履行期限の到来の再抗弁
ウ 保存行為の再抗弁
(2) 被保全債権の発生障害事由等
(3) 被保全債権が強制執行により実現することのできないものであること
(4) 債務者による被代位権利の行使
(5) 被代位権利が債務者の一身に専属する権利又は差押えを禁じられた権利であること
(6) 相手方が債務者に対して有する抗弁
第3 登記又は登記の請求権を保全するための債務者代位訴訟
1 設例
2 訴訟物
3 請求原因
(1) 要件事実
(2) 被保全債権の発生原因事実
(3) 被代位権利の発生原因事実
4 抗弁以下の攻撃防御方法
 責任財産を保全するための債権者代位訴訟における典型的攻撃防御の構造
 登記又は登記の請求権を保全するための債権者代位訴訟における典型的攻撃防御の構造
 
第9章 詐害行為取消訴訟
第1 はじめに
第2 詐害行為取消権
1 詐害行為取消権の法的性質
2 詐害行為取消権の行使の方法等
3 詐害行為取消権の行使の効果
第3 詐害行為取消請求
1 設例
2 訴訟物
3 請求原因
(1) 要件事実
(2) 被保全債権
(3) 財産権を目的とする行為
(4) 被保全債権の発生時期
(5) 詐害行為
(6) 詐害意思
(7) 設例1の請求原因(まとめ)
4 抗弁以下の攻撃防御方法
(1) 受益者の善意
(2) 詐害行為取消権の期間の制限
(3) 資力の回復
(4) 被保全債権の発生障害事由等
第4 相当の対価を得てした財産の処分行為の詐害行為取消請求
1 設例
2 訴訟物
3 請求原因
(1) 法律要件
(2) 要件事実
(3) 被保全債権
(4) 相当の対価を得てした財産処分行為
(5) 被保全債権の発生時期
(6) 詐害行為、隠匿等の処分をするおそれを現に生じさせるものであること
(7) 債務者の詐害意思、隠匿等処分意思
(8) 受益者の悪意
(9) 設例2の請求原因(まとめ)
4 抗弁以下の攻撃防御方法
第5 既存の債務についての債務消滅行為の詐害行為取消請求
1 設例
2 訴訟物
3 請求原因
(1) 法律要件
(2) 要件事実
(3) 被保全債権
(4) 既存の債務についての債務消滅行為
(5) 被保全債権の発生時期
(6) 詐害行為、支払不能
(7) 通謀詐害意図
(8) 設例3の請求原因(まとめ)
4 詐害行為取消しの範囲
5 抗弁以下の攻撃防御方法
第6 受益者に移転した財産を転得した者がある場合の詐害行為取消請求
1 設例
2 受益者に対する詐害行為取消請求(価額償還請求)
(1) 訴訟物
(2) 価額償還請求の請求原因
(3) 抗弁以下の攻撃防御方法
3 転得者に対する詐害行為取消請求
(1) 訴訟物
(2) 請求原因
(3) 抗弁以下の攻撃防御方法
 詐害行為取消訴訟における典型的攻撃防御の構造
 相当の対価を得てした財産の処分行為の詐害行為取消請求
 既存の債務についての債務消滅行為の詐害行為取消請求
 受益者に対する価額償還請求
 転得者に対する詐害行為取消請求
 
第10章 請負関係訴訟
第1 はじめに
第2 報酬請求
1 設例
2 訴訟物
3 請求原因
(1) 報酬請求
ア 報酬額
イ 報酬債権の発生時期及び報酬の支払時期
ウ 危険負担
(2) 遅延損害金請求
4 抗弁以下の攻撃防御方法
(1) 同時履行−引渡しとの同時履行
(2) 同時履行−契約不適合を理由とする修補との同時履行
ア 同時履行の抗弁
イ 請負人の担保責任制限の再抗弁
(3) 同時履行−契約不適合を理由とする債務不履行に基づく損害賠償との同時履行
ア 同時履行の抗弁
イ 信義則違反の再抗弁
ウ 請負人の帰責自由不存在の再抗弁
(4) 相殺−契約不適合を理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求権を自動債権とする相殺
ア 相殺の抗弁
イ 期間制限の再抗弁
(5) 代金減額請求
(6) 催告による解除(目的物の契約不適合)
第3 注文者が受ける利益の割合に応じた報酬請求
1 設例
2 訴訟物
3 請求原因
第4 契約不適合を理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求
1 設例
2 訴訟物
3 請求原因
4 抗弁以下の攻撃防御方法
第5 所有権に基づく建物保存登記抹消登記手続請求
1 設例
2 訴訟物
3 請求原因
4 抗弁以下の攻撃防御方法
 請負契約に基づく報酬請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
 請負契約に基づく割合的報酬請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
 請負契約の契約不適合を理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
 所有権に基づく建物保存登記抹消登記手続請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
 
判例索引
事項索引


ドイツ民法典第4編 (親族法)
法務省大臣官房司法法制部編(法務資料第468号) ISBN 978-4-86684-098-7
書籍コード 500506 A5判 200頁 定価 2,750円(本体 2,500)
 この資料は、ドイツ民法典第4編(親族法)(Bürgerliches Gesetzbuch Buch 4の2023年1月1日現在の条文。ただし、2022年8月末日現在で改正が判明しているものに限る。)を翻訳したものである。
 全体監修、概説及び翻訳は、次の方々に委嘱した。ここに、その労に対し、深く謝意を表する次第である。
(はしがきより)
全体監修・概説・翻訳 神戸大学大学院法学研究科教授   窪田充見
全体監修・翻訳    京都大学大学院法学研究科教授   西谷祐子
翻訳         大阪大学大学院高等司法研究科教授 青竹美佳
翻訳         神戸大学大学院法学研究科教授   浦野由紀子
翻訳         京都大学大学院法学研究科教授   木村敦子
翻訳         九州大学大学院法学研究院教授   小池 泰
翻訳         京都産業大学法学部教授      渡邉泰彦

目 次 抜 粋

はしがき
[概説]ドイツ民法典第4編「親族」−概説
ドイツ民法典の成立と全体像/ドイツ民法第4編の概観と我が国における状況との対比/ドイツ民法第4編における「婚姻」/ドイツ民法第4編における「親子」/ドイツ民法第4編における「親の配慮」
[翻訳]ドイツ民法典第4編(親族法)
第4編 親族法
第1章 民事上の婚姻
第1節 婚約
第2節 婚姻の成立
第3節 婚姻の取消し
第4節 死亡宣告後の再姻
第5節 婚姻の一般的効力
第6節 婚姻財産制
第1款 法廷財産制
第2款 契約による婚姻財産制
第3款 婚姻財産制登録簿
第7節 離婚
第1款 離婚原因
第1a款 離婚の際の婚姻住居及び家財の取扱い
第2款 離婚した婚姻当事者の扶養
第3款 年金調整
第8節 教会の義務
第2章 血族関係
第1節 総則
第2節 実親子関係
第3節 扶養義務
第1款 総則
第2款 子及びその婚姻していない両親に関する特別規定
第4節 親と子の間の法律関係全般
第5節 親の配慮
第6節 補佐
第7節 養子縁組
第1款 未成年養子縁組
第2款 成年養子
第3章 後見、未成年者のための保護、法的世話、その他の保護
第1節 後見
第1款 後見の開始
第2款 後見の行使
第3款 家庭裁判所による助言及び監督
第4款 後見の終了
第5款 報酬及び費用の償還
第2節 未成年者のための保護
第3節 法的世話
第1款 世話人の選任
第2款 世話の遂行
第3款 世話裁判所による助言及び監督
第4款 世話及び同意の留保の終了、解消又は変更
第5款 報酬及び費用償還
第4節 その他の保護


2022年11月発行

高等裁判所刑事裁判速報集(令和3年)
法務省大臣官房司法法制部編 ISBN 978-4-86684-092-5
書籍コード 500411 A5判 582頁 定価 8,250円(本体 7,500)
 本書は,全国の高等検察庁において作成した「高等裁判所刑事裁判速報」に掲載された裁判例のうち令和3年分を,各高等裁判所ごとに,その速報番号にしたがって収録したものであり,昭和56年度版から継続的に刊行されているものである。この速報集は,その編集方針上,類書とは収録重点を異にした特色ある裁判例集として,検察内部のみならず,部外の法曹においても頻繁に利用されてきたものであって,裁判月日別索引も掲げられ,利用価値の高い資料となっている。


2022年10月発行

民事第一審訴訟における判決書に関する研究
〜現在に至るまでの整理と更なる創意工夫に向けて〜
司法研修所編(司法研究報告書第71輯第1号) ISBN 978-4-86684-091-8
書籍コード 500407 A5判 200頁 定価 2,450円(本体 2,227)
 判決書については,平成2年に新様式判決の共同提言が公表されて以降,それまでの在来様式判決に代わって新様式判決が急速に普及するとともに,判決書の在り方についての議論が非常に活発に行われる状況がしばらく続いた。しかし,平成4年に大阪報告が,平成6年に東京報告が公表された後は,まとまった検討結果は公表されていない。また,共同提言後,既に約30年が経過して,在来様式判決から新様式判決への転換を実体験していない裁判官が多数を占めるに至っている。このような状況を踏まえると,共同提言や大阪報告及び東京報告並びにその後の議論を踏まえて,判決書の在り方について再度検討することが必要な時期に来ていると考えられる。
 判決書は,審理結果の報告書であり,審理の在り方とは切り離すことができない。現行民事訴訟法は,争点及び証拠の整理手続によって中心的争点を浮かび上がらせ,これに焦点を当てて証拠調べをし,これによって得られた心証をもとに判決書を作成するという争点中心主義の審理判決を目指すものであり,新様式判決は,こうした争点中心主義の審理の結果を報告するための判決書にふさわしい様式として考案されたものである。したがって,争点及び証拠の整理手続や証拠調べと判決書との間には切り離すことのできない関係があり,質の高い新様式判決を作成するためには,充実した争点及び証拠の整理を行った上,核心に迫った証拠調べをすることが不可欠であることを十分に理解しておく必要がある。
 本研究は,このような問題意識の下,新様式判決が提唱されるに至った経緯や新様式判決の基本となる発想を再確認した上,主に単独事件を念頭に置いて,各記載事項の意義や位置付け,説示の在り方等についての議論を整理し,新様式判決の在るべき姿を検討するとともに,質の高い判決書を作成するために必要な審理の在り方についても検討を加えたものである。
 本研究が,判決書の在り方のみならず,争点及び証拠の整理手続や証拠調べの在り方についての議論を深め,一層の改善を深めていくための契機となることを期待したい。また,判決書が審理結果の報告書である以上,審理の在り方や事案の内容に応じて,望ましい判決書の姿も当然に異なったものとなるのであって,判決書の在り方については,今後も常に改善・工夫を続けていく必要があることを忘れてはならないであろう。
 なお,末尾に添付した参考判決書の各事例は,いずれも架空のものである。単なる記載例として示すものにすぎず,それ以上のものではないことに留意されたい。  
(はしがきより)

目 次 抜 粋

第1章 判決書をめぐる議論の経緯
第1 はじめに
第2 判決書作成の目的及び機能
第3 判決書の記載内容に関する法令の定め
第4 判決書の様式の変遷
1 在来様式判決以前の判決書について
2 在来様式判決の登場とその意義並びに同判決が果たしてきた役割及び機能
3 新様式判決の提唱とそれに至る経緯及びその背景
4 共同提言の反響と共同提言が示した新様式判決の変容
5 その後の新様式判決
第5 新様式判決の意義
第2章 新様式判決総論
第1 新様式判決の現状と課題
1 現状
2 課題
第2 課題解決への展望
1 新様式判決の各構成要素についての十分な理解
2 争点中心型審理とそれに連動した判決書の準備
3 メリハリのある判決構成
第3章 新様式判決各論
第1節 事案の概要
第1 事案の要旨
1 意義
2 訴訟物の表示
3 併合態様
4 被告の主張の骨子
5 記載上の留意点
6 記載例
第2 前提事実(争いのない事実等)
1 意義
2 摘示すべき事実
3 記載上の留意点
4 関係法令の定め
第3 争点及び当事者の主張
1 争点
2 当事者の主張
3 在来様式判決との混合型
4 争点整理案等の利用
5 準備書面の電子データの利用
第2節 当裁判所の判断
第1 総論
1 「判断」欄の位置付け
2 「判断」欄に記載する内容の概要
3 「判断」欄の記載を意識した審理
第2 事実認定
1 認定すべき事実の範囲
2 事実認定の記載方式
3 要証事実の認定に係る説示方式
4 具体的な認定方法と説示
5 証拠の挙示等
第3 事実認定を踏まえた評価及び結論
1 事実認定を踏まえた評価(個別の争点に対する判断の説示)
2 結論
第4章 判決書作成を意識した争点整理と人証調べ
第1 争点整理及び人証調べと新様式判決書との関係
第2 人証調べ及び判決書作成を意識した争点整理の手法
1 要件事実を基礎とした主張分析
2 証拠構造の把握
3 当事者との認識共有と調書記載
第3 争点整理及び人証調べと判決書作成の時期等との関係
1 判決書作成の着手時期
2 判決書作成及びその準備
3 推敲
第5章 結語
資料編 参考判決書集