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2021年5月発行

裁判官のつぶやき
門口正人著 ISBN 978-4-86684-064-2
書籍コード 500303 四六判 322頁 定価 2,200円(本体 2,000)
裁判官を長年経験した著者が紡ぐエッセイ集
 文章を書くのは苦手である。裁判官は余分なものは書くべきではないと諭された時代であったから,書くものといえば裁判書ばかりであった。やがて裁判現場を離れるにつれ,立場上頼まれて雑文を書くことが多くなった。ところが,これまでの駄文を集めて本にすると言われたときには心底驚いた。駄文が何の役にも立たないことはもちろん,読んで面白いものでもないので,大きなためらいがあった。それでも,企画をお受けしたのは,裁判の実情や裁判官の日ごろの思いなどを知ってもらう一つの機会になるのではないかと考えたからである。
 第一部は,静岡地裁所長と名古屋高裁長官のときに,新聞に掲載されたもので,所長や長官は,裁判所と世間を繋ぐいわば広告塔であると割り切って引き受けたものである。毎週一回テーマを探すことがなかなか難しかった記憶があるが,楽しくもあった。そのほかに講演録なども収めた。第二部は,いろいろな方面から裁判所の所属の部署に頼まれた分と退官後に文芸誌に掲載された分から成る。そのうち,文芸誌掲載のものは,誘われて同人に連なったことを機縁に,編集人からテーマを与えられて寄稿したもので,無い知恵を絞ったものが多かった。第三部は,ビジネス誌から依頼を受けたもので,その一部は東京地方裁判所民事第八部(商事・会社更生部)に在籍したときに随時に商事関係のテーマを選んで綴ったものであるが,その余は,退官後に,年に四回,時の社会経済の事情から話題を拾って,自由に記したものである。第四部は,法曹会の会員誌「法曹」のまえがきに年に三回の割合で書き綴ったものであるが,執筆を始めた平成7年から平成22年までの分は単行本(「裁判官 フランスを歩く」青林書院)として出版されたので,その後のものを集めたものである。若いときにフランスで研修する機会があったというだけの理由で連載を担当することになったが,話題探しから難儀している。そのほかに,フランス関係のものを組み入れた。
 というわけで,本書は,頼まれ仕事の駄文の寄せ集めといえるが,私にとっては自分を振り返る良い機会になった。
(まえがきより)

目 次 抜 粋

まえがき
初出一覧
第一部 裁判官 裁判をつぶやく
 裁判官は詐欺師?
 裁判力
 真実の発見
 人さまざま
 かんじんなことは目に見えない
第二部 裁判官 世間をただよう
 ストローカット
 いびきの教訓
 私のケース研究
 次章へ
 忘れられない少年
 ゴルフのキャディーとピアノのセールス
 いろいろ見る
 私のオリンピック
 尖ったもの
 二つの記憶
 ママのせいだ
 不機嫌な判決
 オルヴィエートの大聖堂
 幸福とは、幸福なんて、幸福こそ
 三つのおもてなし
第三部 裁判官 企業を見る
 株主は元気か
 企業統治二年
第四部 裁判官 フランスを歩く
 フランス語がレジスタンス
 なぜ「華の都」か
 懐かしさは暗さにある

司法研修所論集 2020(第130号)
司法研修所編 ISBN 978-4-86684-063-5
書籍コード 500302 A5判 298頁 定価 3,150円(本体 2,864)
 本号では,司法研修所で裁判官の研修を担当する第一部教官室が企画・実施した講演等から合計5本を厳選し,講演録等を加筆修正して掲載しています。
 令和2年4月に「民法の一部を改正する法律」(平成29年法律第44号)による債権法改正が全面施行されましたが,2本はこの関連の講演録となっています。
(編集後記より)
講 演
改正債権法が目指したものと実務への期待
鎌田 薫
はじめに/なぜ,いま(2009年),債権法の改正なのか?/法制審議会・国会における審議/主な改正事項/改正されなかった項目/むすび/質疑応答
民法改正と債務不履行責任
能見善久
はじめに/債務不履行責任の全体像/契約責任の起点としての「契約による債務」/履行請求権とその限界/債務不履行による損害賠償責任(民法415条等)/危険負担制度の位置づけ・その機能/売買目的物の契約不適合の場合の売主の責任/質疑応答
行政事件訴訟の到達点と今後の展望
大橋洋一
はじめに/訴訟要件にかかる進展/訴訟類型の充実化/本案審理の深化/おわりに/質疑応答
法過程における社会科学
飯田 高
はじめに/社会科学と法の関係――総論/「社会科学の利用」の諸類型/質疑応答

シンポジウム
表現の自由をめぐる新たな問題
マティアス・イェシュテット
ラルフ・ポッシャー
鈴木秀美

講演 ドイツにおける「ヘイト・スピーチ」と意見表明の自由(イェシュテット教授)/講演 インターネットにおける意見表明の自由(ポッシャー教授)/コメント(鈴木秀美教授)/質疑応答


家裁調査官研究紀要 第29号
裁判所職員総合研修所監修 ISBN 978-4-86684-065-9
書籍コード 500304 B5判 102頁 定価 4,500円(本体 4,091)
研 究
家庭裁判所調査官による調査面接の基本的な姿勢・技法及び効果的な研さんについて
中村千世ほか
第1 はじめに
第2 研究の目的・方法
研究の目的/研究の方法
第3 先行研究の概観
第4 調査面接の特質
調査官の職務/調査面接の有用性/近接領域の面接との比較/調査面接の特質の整理
第5 調査面接の基本的な姿勢
調査面接の基本的な姿勢を考える上での三つの視点/三つの視点を踏まえた調査面接に必要とされる基本的な姿勢
第6 調査面接の基本的な技法
調査面接の基本的な技法を整理する際の視点/調査面接の基本的な技法の整理/調査面接において活用できるその他の面接技法
第7 調査面接の進め方
調査面接の概要/調査面接の実際
第8 調査面接の効果的な研さん
段階的な研さんの必要性/近接領域における面接訓練の方法/調査面接の研さんの視点/研さん用ツールの提案
第9 おわりに